地元は南北を海と山に囲まれた土地だったから、
子供のころからほぼ強制的に山に登ることになる。
そんな中でも特に、ダントツで、何度も登った山がある。
整備されている道もあり、未就学児でも遠足で訪れる様な山。
その山の名が、通っていた小学校の校歌にも入るほどに身近な山。
それでも地元を離れてしまうと、登るなんて機会は一切なくなってしまっていた。
でも、今回は無性に登りたくなったのだ。
新田次郎の「孤高の人」を読んだから。
実在した登山家の加藤文太郎を主人公にした山岳小説。
物語の冒頭に、馴染みの山が出てくる。
いつかは六甲山縦走をしてみたい、なんて昔ぼんやり思っていたのだけれど、
加藤文太郎がトレーニングのために歩いたルートなんだとか。
それまで全く知らなかった。
縦走も本格的な登山もいつやるのか、やらないのか、
何もかもわからないけれど、
なんだか無性にあの山に登りたくなった。
だから今回登ってきました、高取山に。
記憶の中の山道と照らし合わせながら登ると、
思いのほか沢山の祠が。
残念ながら崩れそうな祠も散見されるが、
道中にも頂上にも無数の祠があるとは、昔は認識できていなかった。
随分昔から、多くの人の想いが集まった山だったのかと思うと、
この山を大切にしたい気持ちが湧いてくる。
また帰ったら登りたい。
そしていつか縦走もできたらいいな。
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▼今回の本